調剤報酬の算定には、
「1剤につき算定」
「1調剤につき算定」
という言葉が沢山使われています。
さて、この「1剤」と「1調剤」、正しく理解できていますでしょうか。
この「1剤」「1調剤」の考え方は、調剤報酬の算定において基礎となる重要な部分です。
ここの考え方を間違えてしまうと算定できる加算が算定できなかったり、算定出来ない加算を算定してしまったりするので、しっかり確認していきましょう。
1剤と1調剤の違いとは?
では、1剤と1調剤の考え方をそれぞれ見てみましょう。
1剤とは
処方せんの受付1回につき、服用時点が同じ内服薬を「1剤」として算定します。
「1剤」は【内服薬】の算定に使う考え方っていうところがミソですよ!
この『服用時点が同じ』というのは「毎食後」「朝夕食後」「就寝前」 など、薬を飲むタイミングが同じ場合を「1剤」と考えます。
⇧上の写真のように、複数のお薬を一度に飲む時の事を想像するとわかりやすいと思います。
同じタイミングで飲む薬をまとめて『1剤』といいます。
服用時点が同じで、投与日数が違っていても1剤として算定します。
例として下記をご覧ください。
こちらは、それぞれ違うお薬ですが、全て服用するタイミングが「毎食後」になるので、1剤となります。
次に、食事を目安とする「食前」「食後」「食間」はそれぞれ別剤として区別していきます。
ただし、以下のものは注意が必要です。
「食前」=「食直前」「食事の30分前」
「食後」=「食事の後30分以内」「食直後」
「食間」=「食後2時間」
では、次の例はどう考えればいいでしょうか。
こちらは全て違うお薬で、①だけが毎食後で1剤、②と③は朝食後と朝食直後で1剤。
なので、こちらは計2剤となります。
又、服用時点が同じで、隔日や週1回の場合でも1剤として扱います。
服用時点が同一であっても別々に算定する場合
以下の場合は、服用時点が同じであっても、別々に算定します。
配合不適等調剤技術上の必要性から個別に調剤した場合
配合不適と言うのは、2種類以上の薬剤を混ぜ合わせた時に化学変化を起こして患者さんの服用に支障をきたす可能性がある組み合わせのことです。
混ぜ合わせることで薬の効果が弱まったり、変色したり、沈殿する事があります。
そういった場合は混ぜずに個別に調剤をし、1剤ではなく別剤とします。
ポンタールシロップとムコダインシロップは配合不適の為、混合せずそれぞれ別剤とします。
内服用固形剤(錠剤、カプセル剤、散剤など)と内服用液剤の場合
内服用固形剤(錠剤やカプセル剤、散剤など)と内服用液剤の場合は、基本的には混ぜずにに個別に調剤します。
そのため1剤ではなく別剤とします。
例えばこんな場合です。
シロップ=内服用液剤になりますので、錠剤である内服用固形剤とは別剤として考えます。
内服錠とチュアブル錠又は舌下錠などのように服用方法が異なる場合
内服錠は水やぬるま湯と一緒にそのまま飲み込む薬です。
しかし、チュアブル錠は噛み砕いて服用するお薬になりますし、舌下錠は舌の下で溶かして服用する薬になるので、服用方法が異なってきます。
こういった場合も1剤ではなく別剤とします。
1調剤とは
1剤の場合は、「服用時点が同じ」の場合でしたよね。
処方せん受付1回につき、「服用時点」と「処方日数」の両方とも一緒である場合のことを「1調剤」といいます。
以下の表をご覧ください。
このように、1剤として考えられる3つのお薬でしたが、1調剤の考え方ですと日数が違ってきますので計2調剤となるわけですね。
頓服薬の場合はこちら。
頓服薬は「1剤」ではなく、「1調剤」として数えます。
次に、外用薬は基本的には「1薬品ごとに1調剤」となります。
外用薬とは、点眼・点鼻・テープ剤・パップ剤・坐薬・トローチなどですね。
ただし、2種類以上の外用薬を混合した場合は、出来上がる外用薬は1薬品なので、1調剤として考えます。
次に、テープ剤とパップ剤が同時に処方された場合をみてみましょう。
テープ剤とパップ剤は別剤形になりますので、計2調剤となります。
まとめ
今回は、「1剤」「1調剤」の違いについて図を用いて説明していきました。
少しは参考になったでしょうか。
現役事務さんに、少しでもお役に立てていれば嬉しいです!
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