調剤事務として働いていて、一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。
そう、処方せんの入力ミスです。
入力ミスをしてしまうと、そのまま調剤・監査でもスルーしてしまい、患者様へそのままお薬をお渡ししてしまう事になるかもしれません。
その薬によって、患者様の体調が悪化してしまったり、もっと最悪な事態に…ということも考えられます。
このように、1つの入力ミスは大きな事故になりかねないという事を、常に頭に入れておきましょう。
いつ入力ミスしてしまうか分からないので怖いです。
患者様にお薬を渡す前に、必ず薬剤師による入力チェックが行われます。
そして間違いがあった場合、最終的な責任は薬剤師になります。
だからと言って【安心】ということではありませんが、【自分だけが悪い】ということにはなりません。
薬剤師も人間ですので、見逃すこともあります。
薬局にいる全ての人が、責任感を持って仕事を行うことが大事だと思っています。
処方せんの入力ミスを減らす為の対策とは?
しっかり確認しているつもりでも、やはり人間が行なっていること。
100%絶対に入力ミスをしない!って難しいです。
しかし、以下のことを意識することでミスを起きにくくすることは出来ます。
現在も、おかゆが日々実践していることになります。
入力チェックする順番を決めておく
処方入力が終わったら、入力チェックをしますよね。
その入力チェックをする順番を自分の中で決めておくのです。
例えば、処方せんの左上の公費番号→右上の保険番号→患者様の名前…という風に、いつも同じ順番で見ることによって、見なくてはいけない箇所を自然と全て見ることが出来るのです。
入力チェックするときは後ろから前に
突然ですがみなさん、タイポグリセミアって知っていますか?
文章中のいくつかの単語で最初と最後があっていれば、それ以外の文字の順番を入れ替えても正しく読めてしまうという現象のことです。
なんの話ですか??
例えば、次の文章を読んでみてください。
はじまめして こんちには ちょういざじむの おゆかと もしうます。
みさなん なよかく しくてださいね!
読めましたか?
でもよく見ると、文章が変になっていますよね。
これは人間の脳の錯覚、思い込みによるものなんです。
私たちは普段文章を読む際に、今までに読んできた文章の経験の蓄積、また文章の前後の文脈を無意識に判断し、意味を脳内で変換しています。
これを処方せんに置き換えると、薬品名と規格が合っていれば同じものと勘違いしてしまう可能性があるのです。
例えば、
ノルバスク錠10mg
ノルバデックス錠10mg
なんとなく似ていますよね。
でもこの2つ、全然違う薬効なんです。
このように、医薬品には似ている名前のものはとても多く、間違いが起こりやすいです。
そこで、入力チェックするときは、1度目は普通に確認、2度目は逆から確認するようにしましょう。
① →②→③ → ④
アムロジピン/錠/5mg/「杏林」
④ ←③←② ← ①
アムロジピン/錠/5mg/「杏林」
このように、逆からもチェックすることで、「脳の錯覚や思い込み」による間違いをなくすことが出来ます。
ミスしやすいところを事前に把握しておく
入力ミスでよくある事例を、把握しておくことも一つの方法です。
よく間違いやすい事例と対策方法としては以下のものがあります。
・処方日の誤り…『今日の処方せん』という思い込みをやめる
・医薬品の規格誤り…『5mg』『10mg』等の規格確認を怠らない
・用量の誤り…『1日1錠』が『1日2錠』等の用量を確認する
・日数の誤り…残薬調整等、一部の日数だけを調整していることもある
・先発品・後発品の選択誤り…後発品を希望していない等の引継ぎ事項をきちんと確認する
ここは間違いやすい!ってわかっていると、注意しながら入力できるようになりますよ。
又、公益財団法人日本医療機能評価機構という、薬局から報告されたヒヤリ・ハット事例を分析し、提供している事業もあります。
実際にどのようなミスが起こっているのか確認出来ますので、事例で学んでいきましょう。
声に出して確認をする
入力チェックをしている時に、処方せんに書いてあることを声に出して確認をしてみましょう。
案外、細かいところが確認出来ていないことに気づくことが出来ます。
例えば、規格10mgと入力したが、処方せんは20mgだったとします。
その時に「にじゅうみり」と声に出しながら10mgの入力を見ることで違和感があり、間違いに気づけるのです。
自分を過信しない
初心者ではないのに入力ミスが多いと感じる方は、身に覚えはないでしょうか。
入力スピードも速くなり、「これぐらいの処方内容なら確認しなくても大丈夫」などと過信してしまう事も出てくるでしょう。
また、なんとなくサラッと確認しただけで終わってしまう事も。
忙しいから、次の処方せんがあるからと、サラっと確認した時に限って間違いがあるのは【調剤事務あるある】ですよね。
気持ちは分かりますが、確認をするときは自分を信じない!自分は間違ってる!って思って、最初からしっかり確認していくことをオススメします。
処方せんの見方は?どこを確認すればいいの?
処方せんを主に確認するべき箇所は以下の項目です。
- 医療保険情報
- 公費負担制度
- 氏名・生年月日・性別・被保険者or被扶養者
- 医療機関情報
- 交付年月日・処方せんの使用期間
- 後発医薬品への変更不可のチェック
- 薬品名・使用量・使用方法
- リフィル可◻︎
- 以下余白・備考
- 調剤年月日・保険薬局の所在地及び名称・保険薬剤師氏名
各項目の詳しい解説は、まとめた記事がありますので、こちらをご覧ください⇩
まとめ
今回は、処方せんの入力ミスを減らす為の対策を紹介していきました。
調剤事務の初心者さんはもちろん、入力は慣れたんだけどミスが多いという方にも参考になれば嬉しいです!